映画:ある精肉店のはなし
TBSラジオの永六輔だったか久米宏だったかの番組で、だいぶ前に表題の映画があることを知った。
精肉店が自分で牛を育てて、自分で屠畜して、自分の店で売っているのだと言う、そんなこと出来るのか?でなんだかよく分からない話だった。
とりあえず上映館のポレポレ東中野で見てきた。
ポレポレ東中野は東中野駅からも見えるロケーションで、前にオオカミの映画で来たことがあった。
映画は冒頭2年ほど前の屠畜見学会の模様からだが、牛の頭にハンマーを打ち、穴の空いたところにワイヤーを入れるのが一瞬見える。
あとは淡々と精肉にして行く作業が続く。
監督はこれをきっかけに映画にすることを決めたようだ。
自分で屠畜というのがよく分からなかったが、屠畜場は大阪貝塚市営の屠畜場で、精肉店は歩いて牛を連れて行けるほどの近所。
しかし市営の屠畜場で専門の係がいる訳でなく、自分で屠畜するというのは初めて知った。
残念ながらこの市営屠畜場が2012年に閉鎖になるということで、精肉店では自前の牛を育てるのは既に辞めていて、牛を仕入れてきて屠畜する様になった。
自分で屠畜すると、一頭分の肉や皮などすべてのものを利用するので、無駄がなくなる。
肉の話と平行して、屠畜等にかかわる人々の差別の話も出てくる。
なんで差別されるのか理解できないが、そういう風潮があって苦労もあったようです。
閉鎖になる最後の日の市営屠畜場に、精肉店から最後の牛が歩いてくる。
体重は655kg。
ハンマーを打つ、倒れない、もう一回打つ、どっとくずれる。
皮をはぎ、吊るして衛生的に解体処理をすすめる。
腸を出す、腸間膜を外す、肝臓を出す、第一胃を出す、心臓もみえる。
胴を電動ノコで半身にする。
あとはもう自分の店で小分けして、商品として売るのみです。
映画は北出精肉店の姉兄弟を中心に、人間模様を映し出している。
ちょっと過酷な作業である屠畜をものともしない、明るい家族が描かれていて、ほのぼのとしてくる。
牛をさばく映像がかなり出てくるが、自分も食べる肉なので、こうして出来る肉に感謝するきっかけになる映画だと思う。
ただ7代続いた精肉店のありかたが、貝塚市立屠畜場の閉鎖で変わってしまうのが残念だった。
この映画はリピーター特権があって、一度見た半券があれば次回は900円でもう一度見られる。
来月も上映されそうなので、また行こうかと思う。
詳しくは公式ページへ
監督は纐纈あやさんですが、はなぶさと読むようです。
映画が終わったら監督から挨拶がありました。
話題にして拡散しますが、ここを見ている人はあまりいませんから、貢献できていません。
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